Amazon Q Developerハンズオントレーニング参加レポート

目次
はじめに
クラウドインテグレーション部の秋葉です。
6月某日に当社東京オフィスにて、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、AWS Japan社)主催のトレーニング「初めての(再入門)Amazon Q Developer ~進化したAmazon Q Developerを触ってみよう~」が開催されました。
私自身、実際にトレーニングへ参加をし、非常に満足度の高くかつ楽しめるトレーニングでしたので、今回はトレーニングの内容や様子、感想についてレポートしていきます!
開催経緯
当社ではCCoE(Cloud Center of Excellence)が中心となって、エンジニアのAWSスキルの向上に向けた様々な取り組みを推進しています。この推進活動においてAWS Japan社との連携は不可欠で、AWS Japan社から当社向けに各種トレーニングや勉強会を開催して頂いています。
今回のテーマである「Amazon Q Developer」は、2025年4月にリリースされましたが、最近のアップデートによって、より便利に活用しやすくなったとのことで、パートナーソリューションアーキテクト から本トレーニングをご提案頂き、開催の運びとなりました。
また、AWSパートナー(APN)向けに提供されるAmazon Q Developerトレーニングは最近できたばかりで、今回記念すべき第1回(初だし)のトレーニング開催とのことです。
当社ではエンジニアの生産性向上を目的として、AIエージェントの活用が推奨されており、そういった意味でも社員のAIエージェントへの関心度は高く、平日日中時間帯の開催でしたが、50名程の社員が参加をしました。
開催概要
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トレーニングタイトル:初めての(再入門)Amazon Q Developer ~進化したAmazon Q Developerを触ってみよう~
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開催日時:2025/6/27(金) 17:00-19:00
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開催場所:アジアクエスト東京オフィス
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アジェンダ:
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Amazon Q Developerのサービス紹介、ユースケースの紹介(50分)
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Amazon Q Developer CLIハンズオン(50分)
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制作したゲームの発表(15分)
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講師:
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AWS Japanパートナーソリューションアーキテクト(PSA)
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荒巻 美南海 氏(メイン講師)
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廣岡 佑哉 氏
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鍵谷 成 氏
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Amazon Q Developerトレーニングの様子
Amazon Q Developerの紹介(前半)
トレーニング前半は座学を中心にAmazon Q Developerについて学びました。
始めにAIエージェントの説明と、AI駆動開発の説明がありました。
Amazon Q DeveloperはAWSが提供する生成AIサービスの1つであり、コーディング支援だけでなく、開発サイクル全体をAIが支援するという思想に基づいて作られています。
例えば、以下のような支援が可能です。
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調査・計画
- コードベースの理解
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実装
- コードの生成
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テスト・セキュリティ
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ユニットテストの生成
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脆弱性のスキャン
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テスト・セキュリティ
- ユニットテストの生成
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レビュー・デプロイ
- ユニットテストの生成
このような開発サイクル全体を支援するため、Amazon Q DeveloperはAWSコンソール、IDE、CLIなど様々なプラットフォームで利用可能となっています。
Amazon Q Developerの機能(コンソール)
AWSマネジメントコンソールに統合されたAmazon Qは、チャットを通じて以下をサポートしてくれます。
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AWSに関する一般的な質問
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特定リソースに関する質問
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トラブルシューティング
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運用調査機能(プレビュー機能)
クラウド環境とリソース情報に基づき異常検知と調査のための情報収集を実行して、原因を推定し解決策を提示してくれるとのこと。
調査や情報収集などの時間や手間がかかるところを、Amazon Q Developerの機能がサポートしてくれるので、運用の負担が軽減されて作業効率の向上に繋がり、これは助かります!
なお、こちらのコンソールに統合されたAmazon Qは日本語に対応しています。
Amazon Q Developerの機能(IDE)
Amazon Q in IDEは多くのIDE環境やメジャーな言語に広く対応していて、普段使用しているVisual Studio Code(以下 VS Code)や、Lambdaで使うだけではなく、これから新しく使い始める言語やAWSサービス内IDEの学習段階でも、Amazon Q in IDEのサポートを受けながら効率よく進めることができそうです。
各種IDEに統合されたAmazon Qの機能として、以下のようにAgentic Codingにより開発の様々なタスクを実行することができます。
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ファイル操作やコード生成
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テストコードの生成
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セキュリティ脆弱性スキャン
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コードレビュー
デモ動画でAmazon Qがコードを生成し、コードレビューをする処理を見せてもらいましたが、脆弱性の検出から修正までをAmazon Qが対応してくれます。
また、プロジェクトごとのルールを設定できるコンテキスト設定機能についても紹介がありました。
外部ツールとの連携を容易にするMCP(モデルコンテキストプロトコル)もサポートされています。
Amazon Q Developerの機能(CLI)
コマンドラインインターフェース(CLI)におけるAmazon Qの機能としてIDEと同じようにエージェンティックな操作が可能です。
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エージェンティックなチャット
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コマンド生成
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ファイル操作
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エラー発生時の自動トラブルシューティング機能
CLI上でTodoアプリケーションを作成する様子をデモ動画で確認しました。他にも、Amazon Q in IDEと同じようにMCPもサポートされています。
MCPによって使えるツールの幅が広がった一方で、様々な権限を与えると危険な面もあるので、ツールごとのアクセス権限管理を行うコマンドが用意されています。権限管理用のコマンドだけではなく、他にもAmazon Q Developerでは様々なコマンドが用意されていて、 例として以下のようなコマンドがあります。
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/tools ツールのアクセス許可の管理
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/save・/load 会話履歴の保存・復元
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/usage コンテキストウィンドウの使用状況
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/model モデルの切り替え
利用できるモデルは以下から選択できます。
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Claude 3.5 Sonnet
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Claude 3.7 Sonnet
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Claude Sonnet 4
執筆時点(2025/07/10)の最新モデルであるClaude Sonnet 4も利用可能です。
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Amazon Q Developerのユースケースと活用方法
以下のようなAmazon Q Developerの活用例の紹介がありました。
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AWSアカウントの操作調査
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構成図の自動作成
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画面を持つアプリケーションの作成
これまでAWS CLIやコンソール画面で確認していたAWSアカウント内の操作調査がAmazon Q Developerを利用することでより素早くできそうです。AWSアカウントのリソースでコストがかかっている調査なども簡単にできるそうです。
また、自動で構成図を作成できることは最も気になることの1つでした。
構成図を0から作成することだけではなく、既存AWS VPCからの構成図を作成することも可能です。今後利用しようと思います。
Amazon Q Developerの料金体系
料金体系は、執筆時点(2025/07/10)では無料版とPro(有料版)の2種類ですが、2025/08/01から料金体系が以下の3種類になると記載があります。
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Free Tier(無料。AWSビルダーID登録のみ)
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Pro Tier(月額19ドル)
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Pro+ Tier(月額39ドル) ※2025/8/1から
執筆時点(2025/07/10)ではClaude Sonnet 4といった最新のモデルが追加料金なしで利用可能となっています。
※Agentic Codingなど一部機能については2025/08/01から月の利用上限が設定されるとの記載があります。利用時にはAmazon Q Developer の料金ページ(英語ページ)の最新情報の確認を推奨します。
Amazon Q Developerへの入力データの取り扱い
Amazon Q Developerに入力したデータがモデルの学習に利用されるかという質問に対して有料版では学習に利用されることはないが、無料版では、オプトアウト設定によって学習利用されないことについても説明がありました。(参考:Amazon Q Developer FAQサイト)
Amazon Q Developerの良い点
数あるAIエージェントサービスの中でもAmazon Q Developerの良いところとして、 AWSが提供しているサービスであるため、AWSに強いということが言えます。コンソールのQはCloudWatchのデータにアクセスしやすく、今後そのようなデータをCloudWatchに集めておいて何か問題が起こったときにAmazon Qに聞くだけで解決する。という世界観が作りやすい長所があります。
障害が起きたときに効率良く情報を集めて、障害の原因を解析する補助になりそうです。
トレーニング(座学)の様子
Amazon Q Developerハンズオン(後半)
セミナーの後半はAmazon Q Developerを実際に使用して、チームごとにゲーム制作を行うハンズオンを行いました。
ルールは2点です。
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Amazon Q Developer CLI(以下Q CLI)のみを利用すること
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ブラウザ上で動作するシンプルなHTMLとJavaScriptを使ったゲームにすること
Builder ID作成
Q CLIを使ってゲーム制作を進めるため、まずはBuilder IDを作成します。次に事前に用意されたブラウザ上で動作するVS Codeの環境にログインしてQ CLIを利用したゲーム制作を行います。
AWS Japan社から提供されるトレーニングを受講する際は、AWS側からデモ環境を提供されるためスムーズにハンズオンに入れるのも魅力です。
Amazon Q Developerでゲーム制作
2~3名のチームに分かれて、チーム単位でゲーム制作を進めました。
Q CLIへ自然言語で作りたいゲームのコンセプトや、こういったアクションを加えるように指示をして進めます。
Q CLIが作成したゲームをベースにして、 チームで自由なアイディアを出して改良を加えていきます。
Q CLIに与える指示によって、思っていたものと違う結果がかえってくることもあります。皆さん思い思いにゲーム制作を進めて、とても楽しそうです!!
AWS Japanの皆さんも会場を巡回頂き、声をかけてくださり、アドバイスをくれました。
最後は制作したゲームの発表
最後に制作したゲームの発表です!!代表して3チームが発表を行いました。
ゲームの概要説明しながら簡単なデモを行います。ゲームの内容に加えて、制作の過程や制作する上で工夫した点、苦労した点についても触れました。
- 「Danmaku Q Shooting」ゲームの発表
今年の新卒ペアが作成したのは「Danmaku Q Shootingゲーム」です!
最初は単なるシューティングゲームを作成し、そこから指示を加えて改良を図ったとのことです。登場するキャラクターをAmazon Qをイメージしたキャラクターにしてほしい、自分達が撃つ弾の速度を調整したい、弾幕を「Q」にしてほしいなどの指示を出したそうです。また、敵が撃つ弾を「美しく、幾何学的な模様」にして指示を加えたところ、自分達が理想とするようなゲームに近づけたようです。
講師の方から「LLMが確率的にトークンを予測するため、できるだけ具体的に指示を与えることがコツ」で、今回特に「幾何学的な」というような具体的な指示が良かったというコメントがありました。
1チーム目の発表が終わったところで、セミナー終了時間もあとわずかとなり、発表はあと2チームとなりました。
ただここで、発表グループに贈られる景品(ピンバッチ)が残り1つとなり、残り2チームは、景品をかけて制作ゲームのプレゼン対決をすることに。
- 「レインボーレーシング」ゲームの発表
Q CLIが作成したゲームは、シンプルなレーシングゲームでレベル感としても簡単なものだったので、ここからさらに指示を出して改良をし「背景をカラフルに、ゴージャスにして」「ゲーム難易度を上げて」と言った指示を与えて目標のゲームに近づけた過程を順に説明しました。
お助けアイテムとして、レース場にスターと登場させてスターを獲得すると障害物を吹き飛ばすという仕様で伝えたそうですが、障害物が消滅してしまい、このあたりはうまくニュアンスが伝わらなかったようです。面白いですね。
- 「猫クレーンゲーム」の発表
かわいい猫キャラクターを全面に出した癒し系ゲームです。
参加者の投票の結果、「レインボーレーシング」チームが勝利!!!
そして、発表を行った3チームに、Amazon Qステッカーがプレゼントされました!!
皆さんのこの表情からも楽しかったことが伝わってきますね!
最後に
今回のトレーニングの参加を通して、Amazon Q Developerの具体的な利用ケースや特徴が整理できました。単にコードの実装だけではなく、構成図の自動生成、資料作成、コードレビューなど、実務の場で様々な活用ができると感じました。
また、座学だけではイメージがしづらい部分も、実際にハンズオンでAmazon Q Developer CLIを利用しゲーム制作をしたことで理解も深まりましたし、限られた時間の中でゲームのアイディア出しから実装、改良を加えることまでできてしまうのは、驚きと非常に面白い体験でした。
今回のハンズオンではVS Codeの環境を事前に用意してもらい、Amazon Q Developer CLIを利用しましたが、今後はIDEやCLIの環境を用意して、コードベースの理解、ユニットテスト、ドキュメントの作成などの機能も試していきたいと思います。
後半のハンズオンでは、ゲーム制作やその発表は非常に盛り上がり、 オフラインならではの学びや楽しさがありました。Amazon Q Developerを使った開発の良さを参加者同士で共有することができました。
AWS Japan社のみなさま、ありがとうございました!!
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