GA4 とは?アクセス解析の「その先」を目指す新世代ツール

GA4 とは?アクセス解析の「その先」を目指す新世代ツール

 

目次

    はじめに

    SEM Technology ブログ のGA4 の導入状況調査 2023 年 12 月によると、2023 年時点で上場企業コーポレートサイトのうち約 8 割が Google Analytics 4(GA4)を導入済みという結果が出ています。
    アクセス解析ツールには他にも Adobe Analytics など複数の選択肢がありますが、GA4 は無料で使える高機能なツールとして広く普及しており、Web サイト分析の標準ツールとなっています。

    そもそもアクセス解析とは、Web サイトやアプリに訪れたユーザーが「どこから来て、どのような行動を取っているか」を把握・分析する手法のことです。
    たとえば、「どのページがよく読まれているか」「なぜ途中で離脱する人が多いか」を明らかにすることで、ユーザー体験の改善やマーケティング施策に活用できます。

    私自身、以前は Google 広告の運用に携わっていたことがありますが、GA4 については詳しく触れる機会がありませんでした。
    今回、GA4 のデモ画面操作や調査を通じて、ユーザーの「行動」を起点にしたイベント設計や、クロスデバイス分析、機械学習の活用など、GA4 の新しい可能性に触れ、「EC サイトなどのあらゆるサービスの成果改善に不可欠である」と感じた次第です。

    この記事では、アクセス解析初心者のエンジニアの方にもわかりやすいよう、GA4 が登場した背景や主な特徴、そしてビジネスでの活用方法について、具体例を交えて解説します。

    なぜ GA4 が登場したのか?

    厳しくなるデータ保護ルール
    世界各国でインターネット上の個人情報保護が厳しくなり、従来の Cookie 追跡に制限がかかっています。
    GA4 ではこうした変化を踏まえ、Cookie への依存を減らし、個人情報の扱いに配慮した計測を行う新しい仕組みを導入しています。

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    ユーザー行動の多様化
    現代のユーザーはスマホ、タブレット、PC など複数のデバイスを使い分けています。
    従来の分析では、同じ人が違うデバイスを使うと別の人として計測されていました。そのため、実際のユーザー行動を正確に把握できない問題が増えていました。
    GA4 は、サイトの会員 ID や Google アカウント、ユーザーシグナルなど多面的な識別方法を活用することで、個人を特定しない形で異なるデバイス間でも同じユーザーとして一貫した行動分析が可能になっています。

     

    イベントベースの計測手法
    GA4 は Cookie への依存を減らし、多様なユーザー行動(動画再生やスクロール、アプリ操作など)を「イベント」という単位で統一して捉えるようになりました。
    これにより、ページ閲覧に限らず幅広いユーザー行動を柔軟に分析できるようになりました。
    次の章では、このイベントベース計測の具体的な機能や活用方法を見ていきましょう。

    GA4 の主要機能と活用方法

    1. イベントベースのデータ収集

    GA4 ではページ閲覧だけでなく、クリックやスクロールなど、あらゆる行動が自動または手動で「イベント」として記録されます。
    これにより、単なるページ閲覧だけでは捉えきれない、ユーザーの具体的な動きや関心ポイントをより正確に把握できるようになります。

    活用例:

    • 商品詳細のどこに注目が集まっているかを把握
    • 問い合わせフォームで離脱が多い入力欄を特定

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    2. 機械学習による予測分析

    GA4 には、ユーザーの過去行動から将来の行動を予測する機能があります。

    活用例:

    • 購入の可能性が高いユーザーを特定
    • サイトから離れそうなユーザーを事前に検知
    • 将来的な売上の見込みを可視化

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    3. クロスデバイス分析

    スマホで商品を調べて、PC で購入するといった行動も、同一ユーザーとして一貫して分析できます。
    これにより、デバイスをまたいだ複雑な購買行動も正確に追跡できるようになります。

    活用例:

    • スマホでお気に入り登録した商品を PC で購入するユーザーの割合把握
    • デバイス間の移行時に離脱が多いページの特定

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    4. オーディエンストリガー(条件付きイベント計測)

    ユーザーが特定の条件を満たしたとき、自動でイベントが生成されます。

    活用例:

    • 「カートに入れたけど購入しなかった」 → 「カート放棄イベント」
    • 「高額商品を 3 回以上閲覧したのに購入・問い合わせしなかった」 → 「高額商品検討離脱イベント」

    この情報は Google 広告とも連携でき、リターゲティング施策などに活用できます。

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    5. BigQuery との連携

    GA4 は無料版でも BigQuery へデータエクスポートが可能です。
    BigQuery は Google Cloud が提供する大規模データ解析基盤で、GA4 の管理画面だけでは難しい複雑な条件指定や長期間のデータ保存を容易に実現します。

    活用例:

    • 60 日以内に決済ページを 2 回以上閲覧し、特定クーポンを使用したにもかかわらず未購入のユーザーだけを抽出してレポート化
    • GA4 の管理画面では閲覧できない数年分のアクセス履歴を一括保存・分析して、長期的なトレンドを把握

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    GA4 がもたらすビジネスへのメリット

    ユーザー体験の改善

    GA4 を活用すれば、スマホで商品を閲覧 → PC で購入といったユーザー行動を一連の流れとして把握できます。
    これにより、例えば「スマホの商品ページをもっと見やすくしよう」といった具体的な改善につながります。

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    マーケティングの精度向上

    SNS → 検索 → 購入といった流れを把握できれば、どの広告がどのタイミングで効果を発揮したかを把握でき、無駄のない予算配分が可能になります。

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    予測に基づく先回りの施策

    「解約しそうなユーザー」や「購入確率の高いユーザー」を事前に把握できれば、クーポン配布や特別オファーの配信など、タイミングの良い施策が打てます。

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    まとめ:GA4 が描く「これからのアクセス解析」

    GA4 は単なるアクセス解析ツールではなく、ユーザーの行動全体を理解し、未来のアクションを予測し、最適な対応を考えるためのプラットフォームです。
    最初は難しく感じるかもしれませんが、私のように少し触ってみるだけでも「なるほど、こういうことができるのか」という気づきが得られるはずです。

    GA4 に少しでも興味が湧いた方は、ぜひデモ画面を触ってみてください。
    初心者でも"触って学べる"のが GA4 の良さでもあります。

     

     

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