テックブログを3年間運営してみて
本記事はAsiaQuest Advent Calendarの17日目です。
目次
はじめに
デジタルエンジニアリング部の佐藤(大)です。
今回はテック記事ではなく、アジアクエストのテックブログ(以下AQTechBlog)の裏側についてご紹介しようと思います。
私は2019年のAQTechBlogの立ち上げ段階から、運営に携わらせていただいております。
このAQTechBlogは2023年10月現在、おかげさまで記事数が合計50を超えてまいりました。
執筆者の方々、レビュワーの方々、その他公開に向けて準備していただける方々、そして何より読者の皆様の力でようやく軌道に乗り始めているところになります。
50記事を超えたというところで、1つ節目として捉え、やって良かった点や苦労している点などをまとめたいと思います。
上から下まで全て読むというよりかは、目次から気になるところだけを読んでいただければ幸いです。
対象読者
- これからテックブログを立ち上げようと思っている方
- すでにテックブログを運営している方
- テックブログを運営してきて良かったことを知りたい方
- テックブログで苦労していることを知りたい方
なぜテックブログを始めたのか?
そもそもなぜテックブログを始めたのかについてお話しします。
テックブログを始めようか議論している当時、社員数が200名〜300名と段々と増えていっている最中でした。
優秀な社員が多く、各々が学習しているためインプットは充実していました。
一方で、以下のような課題があるように思えました。
- 技術力がある社員が多いのに、今一つ社内での共有が出来ていない
- アウトプットをする社員が、特定の社員に固定化されている
- アジアクエストの知名度がまだまだ足りない
そこで、以下のような目的を掲げ、それを達成する手段としてテックブログを始めました。
特に重視しているのが以下の2つです。
- 社内の特定のメンバー間に溜まっていく知識や技術を、社内全体の共有のナレッジとして見える化する
- 社内で蓄えられた知識や技術を社外に向けて発信をしていくことで、アジアクエストのブランディングを向上し、採用力の強化に繋げる
現在ではconnpass同様、アジアクエストから社外へ発信するコンテンツの1つとして位置付けられております。
執筆内容や執筆者について
執筆内容や執筆者について、現在は特に厳しい条件を定めていません。
技術に関わる内容であれば、どんな内容でも、どんな方でもウェルカムです。
よって、インターン生による記事もあったりします。
AQTechBlogの方針を決める際、ターゲット(読者)を絞って、公開する記事のジャンルを絞ることも当然考えました。
しかしそうすると、社内で執筆できる人も限られてきますし、記事数も増えてこなさそうという見込みから、執筆の敷居をなるべく下げることにしました。
なぜ自社ドメインのブログなのか
またAQTechBlogを始めるにあたって、プラットフォームの選定も行いました。
Qiitaやはてなブログといった外部サービス上でブログを運用するか、はたまた自社ドメインのブログを立ち上げるかを検討しました。
それぞれのメリットデメリットは以下のような感じです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
外部サービス上でブログを運用 |
・すでに一定数のユーザーがいるため、最初からある程度記事が読まれる可能性が高い |
・発信したコンテンツが外部サービス上に蓄積され、自社内に残りづらい ・万が一サービスが停止した際に、全てが失われる可能性がある |
自社ドメインのブログを立ち上げ | ・発信したコンテンツが自社の財産になる ・サイトを自由にカスタマイズできる |
・ユーザーを1から集める必要がある |
これらを吟味した結果、財産が社内に蓄積される方が良いと判断し、現在は自社ドメインでの運用をしております。
※Qiitaも一応やっています。
AsiaQuestのOrganizationとして、社内の有志のアカウントと紐づけており、公開する記事は自由に執筆していただいてます。
こちらも好評をいただく記事が多いので、もしよろしければ是非ご覧ください。
テックブログを運営してきて良かったこと
3年余りテックブログを運営してきて良かったことを、3つご紹介いたします。
- 思っているよりも記事を読んでもらえる
- 採用活動や日々の顧客との会話に、テックブログの話題が上がる
- 記事を書いてくれる人の認知度が上がる
思っているよりも記事を読んでもらえる
テックブログを始めた当初はまず ”そもそも書いた記事が読まれるのか” という大前提が分からなかったので、それを探るべく、最初は記事数を増やすことを重点において進めておりました。
記事のジャンルは問わず、各執筆者が書ける内容でいいので書いて欲しいと地道にお願いしてまわりました。
そうやって少しずつ記事数を増やしていくと、数ヶ月経つうちにいくつかの記事のPV数が伸びてきたりしました。
記事数が少なかったり、書いても読まれないとなると、モチベーションを保つのがなかなか大変ですが、案外少ない記事数でも読まれる記事はあるので、継続して記事を出し続けると自ずと多くの方に読んでもらえるようになりました。
採用活動や日々の顧客との会話に、テックブログの話題が上がる
ここ最近になって、採用活動の中で「御社のテック記事読みました!」ですとか、「今後弊社で実現したいことがあって偶然御社の記事を見かけたんですが、記事の内容のことはご対応可能でしょうか?」など、「テックブログを見ました。」というお声をいただくことが増えてきました。
まだまだ事例は多くないですが、このようなことが増えてくると、当初掲げた目的が徐々に近づきつつあり、やってきて良かったなと喜びに浸ったりしています。
記事を書いてくれる人の認知度が上がる
弊社は現在社員数が300名超えで、かつリモートが主体です。
そうなると、仕方のないことですが、名前も顔も思い浮かばない方が出てきます。
そういった方々が記事を書くと、〇〇さんは「AWSが得意な方」、「CI/CD周りが詳しい方」、「PHPが得意な方」みたいに良い意味でのタグ付けがされていきます。
会ったことはないけど、社内での名前の露出度が多くなると、いざその分野で困った時に声をかけやすくなったり、他部署から評価しやすくなったり、ものすごく漠然とですが良い影響があると思っております。
テックブログを運営してきて苦労していること
一方で苦労していることも当然あります。今回は2つほどご紹介いたします。
- 記事を執筆してもらうのが結構大変
- 1記事公開するのにかかるコストが意外と高い
記事を執筆してもらうのが結構大変
苦労していることのまず第一に、記事を執筆してもらうのが思いの外大変です。
弊社は記事を執筆する専門の社員がいるわけではなく、1人月の案件に入っている社員が、案件外の時間で記事を執筆していただくことが多いです。
もちろん業務として執筆していただいているのですが、残業して執筆する必要が出てくると、負担は大きいですし、何より「執筆することで、自分に何の利益があるのか?」「どう評価されるのか?」という疑問が湧いてきます。
もちろん評価には入れているのですが、「何記事書いたから、こう評価する」という明確な指標はまだないので、その辺りも徐々に改善していこうと模索している最中になります。
1記事公開するのにかかるコストが意外と高い
1つ目の内容に似てるのですが、こちらは「執筆以外の部分で、公開までにかなりの時間や人を要する」ということです。
AQTechBlogで公開する記事は会社の名で公開してることもあり、誤った情報や誤字がある記事を出さないように心がけています。
そのため、技術的なレビューと文法的なレビュー、公開前の最終レビューと3段階のレビューを別々のチームで担当するようにしています。
各段階でレビュー指摘&修正を経た上で公開に辿りつくので、期間は早くても1ヶ月、長いと数ヶ月かかる記事もあったりします。
もう少し定期的に出したいのは山々ですが、品質を担保する必要があったり、各メンバーが他の業務を抱えていたりするので、なかなか一筋縄でいかなかったりします。
テックブログを推進するために試したこと
苦労していることを解消したり、益々発展させていくために以下のようなことを試したりしています。
- 記事の書き方を丁寧にまとめる
- 記事執筆にインセンティブを付与する
- もくもく会の開催
記事の書き方を丁寧にまとめる
AQTechBlogはこれまで、走りながらブラッシュアップしていく感じで進めてきたため、最近までドキュメントが分かりづらかったり、散らばってたりしました。
執筆していただける方が増えてきたこともあり、テックブログの執筆に関する社内向けのGoogleサイトを最近公開し、すべてそこに集約することにしました。
記事を書く意義であったり、具体的な執筆の手順など、テックブログに関するあれこれを丁寧にまとめ、ここだけを見れば良いというサイトに仕上げました。
記事執筆にインセンティブを付与する
あまり大きな声では言いたくないですが、今年から執筆者がいる課に還元できるようなインセンティブをつけるようにしました。
具体的な数字は伏せさせていただきますが、少しでも執筆に協力しやすくなるようにまた執筆して良かったと思ってもらえるようなレベルとしました。
本施策によって多少記事数も増えてきましたし、悪用されるケースも全くないですし、ちょうどいい塩梅だったと思われます。
もくもく会の開催
テックブログについてどう思っているかを社員に聞いてみると、「気になってるんだけど、どうしたらいいのか分からない」「書きたいけど、どういう記事を書けばいいのか分からない」といった声があり、あと一歩踏み出せない方が一定数いることが分かりました。
そこでテックブログ運営メンバーが直接サポートする場として、もくもく会を開催することにしました。
すでに数回開催しており、まだまだ参加者は少ないですが、着実に記事数の増加には繋がっているので、より多くの執筆者を集めるべく今後も開催していく予定です。
アナリティクス情報から分かった興味深いこと
GoogleアナリティクスやAQTechBlogが利用しているCMSの分析情報から、以下のようなことが分かりました。
- 記事のPV数が伸びてくるのには時間がかかる
- 多くのエンジニアは平日しか記事を読まない
記事のPV数が伸びてくるのには時間がかかる
見出しの通り、記事のPV数が伸びてくるのには時間がかかります。
記事を公開してすぐに多くの方に見られるわけではありません。
公開後数ヶ月から1年くらいかけて少しずつ伸びていきます。
いくつか実際の例をご紹介いたします。
こちらは、2022年1月に公開した記事のグラフになります。
縦軸がPV数、横軸が年月です。
1年くらいかけて、徐々に増加しているのが分かると思います。
AQTechBlogのほとんどの記事がこんな感じで推移していってます。
次に、2022年3月に公開した記事のグラフです。
この記事は、3ヶ月後くらいに一気に伸びています。
このパターンはあまり多くなく、偶然トレンドを掴んだり、内容が良かったりして、伸びたものと思われます。
最後に、2023年2月に公開した記事のグラフです。
最近公開した記事は以前よりも伸びるのが比較的早い印象を受けます。
記事の内容の良さももちろんですが、この頃には検索上位の記事がAQTechBlog内に増えてきたこともあり、その影響を受けて他の記事のSEOも良くなっているように思われます。
一方で、思ったよりも伸びない記事もあります。
伸びない記事がダメな記事ということは決してありません。
内容がニッチだったり、専門性が高い記事だったりすると、そもそもその内容を調べる方の母数が少なく、結果伸びにくいのではと推察しております。
時間と労力をかけて執筆して公開するからには、読まれたいというのはもちろんですが、読まれる記事ばかりを量産するのも、我々のやりたいことと変わってしまうので、あまり意識しすぎないようにしています。
PV数はあくまでも指標なので、それをもってその人を評価するとかに使うのではなく、今後公開する記事の参考程度にとどめています。
多くのエンジニアは平日しか記事を読まない
見出しの通り、多くのエンジニアは平日しかテック系の記事を読まないことが分かりました。
ここ6ヶ月(2023年5月〜10月)のPV数のグラフをご紹介いたします。
縦軸がクリック数(PV数)、横軸が年月日です。
概ね山のところが平日の月〜木曜日、谷のところが金〜日曜日となっています。
ゴールデンウィークやお盆が若干低いのも、一息ついてる感じが分かりやすくて面白いですね。
平日のクリック数は、休日のおよそ3倍〜6倍程度です。
要するに休日に勉強しているエンジニアは、ざっくり全体の1/3以下ということになります。
逆に休日勉強すれば、エンジニアの全体の上位1/3に入れる可能性もあるってことですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は趣向を変えて、AQTechBlogの裏側をご紹介しました。
我々も他の企業や個人の上手くいってる事例、苦労している事例を学ばさせていただきながら日々運営しております。
本記事が参考になりましたら、嬉しい限りです。
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