SAPプロジェクトに携わっている方なら、こんな経験はないでしょうか。SPROの設定値をエクスポートして、Config定義書と突き合わせる。VLOOKUPやINDEX MATCHを駆使して、ひたすらセルを見比べる。列名が微妙に違っていて関数がうまくハマらず、結局手作業で調整する――。
私たちもまさにその現場にいます。だからこそ、「この作業、AIでもうちょっとラクにならないか?」と考えました。
今回は難易度の低いところから始めてみようということで、最初のPoCとして「SAPコンフィグ差分チェックツール」を開発しました。本記事では、開発の背景からツールの仕組み、AI活用のポイント、そして今後の展望までをお伝えします。
SAPプロジェクトにおけるコンフィグ管理では、SAPの設定値とConfig定義書をExcel上で関数を使って突合するケースが多くあります。しかし、この方法にもいくつかの限界がありました。
こうした課題に対し、「AIにフォーマットの違いを吸収させ、意味的な突合を行わせる」というアプローチが有効ではないかと考えました。単純な文字列マッチングではなく、AIが項目の意味を理解したうえで差分を検出できれば、フォーマットの違いに左右されない柔軟な突合が実現できます。
ツールの操作はシンプルな2ステップ構成になっています。
「ペア登録」画面では、比較したいファイルのペアを登録します。
複数のペアを一度に登録できるため、複数テーブルの一括チェックにも対応しています。実際に下のスクリーンショットのように、2つのペアを登録して同時に分析を実行することが可能です。登録が完了したら「分析実行」ボタンを押すだけです。
正直なところ、SAPからファイルを手でダウンロードしてくる時点で「それも自動化してくれよ」という声が聞こえてきそうです。将来的にはAPI連携で自動取得することも考えられますが、今回はあくまでPoCなので、そこは潔く割り切りました。まずは「突合作業そのもの」をAIで効率化できるかの検証に集中しています。
分析が完了すると、まず結果一覧画面が表示されます。登録したペアごとに一致率と不一致行数が一目で確認でき、「不一致のみ表示」トグルで差分のあるペアだけに絞り込むこともできます。
一覧からペアを選択すると、詳細画面に遷移します。詳細画面では以下の情報が確認できます。
現時点でAIを活用しているのは、列マッピングの自動推定です。
SAP実機ファイルとConfig定義書では、同じ設定項目でも列名が異なることが一般的です。たとえば、SAP側では「Warehouse Number」、定義書側では「WhN」と略記されているケースなどです。AIが列名の意味を解釈し、対応関係を自動でマッピングすることで、手動での列合わせ作業を不要にしました。
さらに、各マッピングに対して確信度とその根拠を出力するようにしています。たとえば「Warehouse Number ↔ WhN」であれば確信度100%で「WhNはWarehouse Numberの一般的なSAP略称である」という根拠が、「HU Type Check ↔ HU」であれば確信度75%で「HUはHandling Unitを表すことが多く、HU Type Checkの略称と考えられる」という根拠が添えられます。マッピング結果の妥当性を人が素早く判断でき、確信度が低い項目だけを重点的にレビューすればよいので、確認作業の効率も大きく向上します。
現在のPoCで得られたフィードバックをもとに、以下の機能拡充を計画しています。
コンフィグ差分チェックは、私たちが取り組む「SAP × AI」の最初の一歩です。今後は以下のような領域にもAI活用を広げていく予定です。
SAPの業務領域には、まだまだAIで効率化・高度化できる余地が多く残されています。引き続き、現場の課題に寄り添いながらPoCを重ね、実用化を目指していきます。
SAPプロジェクトにおけるコンフィグ管理は、地味ながらも品質を左右する重要な工程です。今回のPoCを通じて、AIが人の判断を支援するかたちで、確実に業務効率と品質を向上できる手応えを得ました。
実は、この記事自体もAIと一緒に作成しています。かなり自然な表現だったと思いますが、いかがでしたでしょうか?AI、なかなかやりますよね。
今後もSAP × AIの取り組みを発信していきますので、ぜひご注目ください。