本記事はアジアクエスト Advent Calendar 2025の記事です。
こんにちは、アジアクエスト情報システム部の星野です。本記事は部署内メンバーによる合作記事となります。昨年に引き続き、2025年の情報システム部(以下情シス)の取り組みについて振り返っていきます。※昨年の記事はこちらです。
私事ですが、アジアクエストには今年の3月に加わりました。情報システム部門のキャリアは未経験でしたが、やりがいのある充実した1年となりました。そんな1年間の活動を紹介させていただければと思います!
本題に入る前に私たちについて簡単に紹介しておきます。
アジアクエストは、高度なAI技術を核に、AIX(AIトランスフォーメーション:AIによる業務変革)およびDXの実現を支援するAIインテグレーターです。
ビジョンとして 「速く、強く、おもしろく」 を掲げ、変化し続ける世界においてワクワクや夢を持ち続ける姿勢そのものを大切にしています。私たち自身がそうあり続けることで、仲間と、そしてお客様と共に、未来を切り拓き、世界に新しい価値を生み出していきたいと考えています。
コーポレートサイトはこちらです。社員数は2025年12月時点で約470名です。昨年末比で70名ほど増加しました。特に外国籍の方や大阪拠点での採用人数が増えています。
現在10名が所属しています。働き方はリモートワークが中心ですが、ヘルプデスク対応のために常に誰かが会社にいるようにしています。
私たちの業務範囲について、一般的な情シス部門と比較しつつまとめてみました。
基本的に自社運用のサーバは持たず、SaaS中心の社内システムを構築しています。ハイブリッドワークを前提とした社内システムです。今年導入したものを含め、社内で利用している主なツールを列挙します。
アジアクエストにはAIを駆使している部署があり、昨今のAI情勢にも目を光らせています。そこで、該当部署にどのようなAIツールを利用しているのかをヒアリングしてみましたので、ご紹介できればと思います。
Gemini、ChatGPT、GitHub Copilot、Claude Code、Cursor、OpenAI Codex、Devin AI、GeminiCLI、Dify、n8n、Google AI Studio、Mastra、Google Opal、Google Workspace Flows、Google Antigravity、DeepL翻訳、Amazon Polly、Sora2、superwisper、Langfuse、NotebookLM
いきなり内部事情で恐縮ですが、力を入れた分野のため記載していきます。
アジアクエストでは、2025年7月にAI専門部署が立ち上がりました(発表はこちら)。この際、一般的に情シス部門が担う 社内情報セキュリティ指針の決定役割 が、このAI専門部署へ移動しています。これに伴い、情シスメンバー数名異動、新部署間との責任範囲や連携の取り方、社内規程や各システム上の権限変更など対応は多岐に渡りました。
昨今のAI情勢のように変化が激しいなかで「世の中の流れに乗る必要がある」「AI利用を諸手では許可できない」という衝突を社内で起こさせないため、攻めと守りのミッションを同一組織に持たせる構造を実現しています。
2025年12月現在で情シスは10名が所属していますが、実は2024年9月以降の入社が6名とフレッシュな組織となっています。情シス部門未経験の方も多く迎えることになりました。そこで、長らく一緒にやってきたメンバーのマインドに属人化・依存しないよう「部署の行動指針」「価値提供プロセス」など大事にしてきたことを改めて言語化&資料化を実施、オンボーディングに利用しています。
情シスの業務の量・種類ともに拡大してきており、成長に合わせてスケールできる体制作りが欠かせません。規模が小さい頃の情シスは、特定の個人の力量に依存していた部分も大きかったですが、現在は個人に依存しない仕組みやルールづくりを重視しています。 もちろん、それぞれのメンバーには得意分野や興味の方向性があり、そこを伸ばしていくことも重要です。資格取得や外部イベント参加、新しい業務経験の機会づくりなど、メンバーの成長を後押しする取り組みも積極的に行っています。
社内情報の一元管理と、問い合わせ対応の効率化を目指し、ヘルプデスクツール「Zendesk」を導入しました。導入の技術的な詳細や背景については、以前公開したこちらの記事もぜひご覧ください!
今年6月にナレッジポータルを全社公開しました。導入前は、社内情報が各所に散らばっていましたが、現在は「ここを見れば分かる」という状態を目指し、情シス管轄の情報だけでなく、就業規則(労務管轄)からスライド資料テンプレ(マーケ管轄)まで、従業員が探したい情報を集約しています。徐々に記事数を増やした結果、社員による閲覧数も増加傾向にあります。
「分からないことがあったら、まずは検索して即解決する」という体験を広げることで、社員が不明点を調べたり、問い合わせなどに費やす時間を削減していきたいと思います。
運用面での大きな変化は、問い合わせ対応の「データ化」です。これまではSlack等で来る質問に都度対応するフローでしたが、ツール導入によりチケット管理が可能になりました。今後は、蓄積されたデータを分析してさらなる改善に繋げていくサイクルを回していきます。また、ナレッジポータルはAI活用との親和性が非常に高い分野ですので、今後はAIによる検索性向上や回答支援なども視野に入れ、さらに利便性を高めていきたいと考えています。
災害や緊急時に社員の安全を迅速に把握するため、安否確認システムを近く導入する予定です。現在はそのための選定を進めています。 これまでアジアクエストでは、一定以上の規模の地震が発生した際に自動で安否確認用のGoogleフォームをSlackの全社チャンネルに投稿する自作のスクリプトを運用していましたが、以下をはじめとした様々な問題がありました。
そのため、本格的な安否確認システムを導入することにより、全社員の状況を迅速かつ確実に確認できるようにしたいと考えています。さらに、人事労務サービスとして利用しているSmartHRとの連携により、従業員の居住地や安否確認のとりまとめ担当者の設定が自動で反映され、情報を正確かつ手間なく管理可能にすることを目指しています。本導入後は、非常時連絡の迅速化とBCP体制の強化を目指し、社員が安心して働ける環境づくりをさらに推進していきます。
アジアクエストでは、総務/法務/経理機能を持つ管理部という組織があり、この部署が一律で代表電話応対を実施しています。この管理部の業務効率化と、ハイブリッドワークに即した電話対応を実現するため、代表電話の運用見直しに着手しました。
これまでは管理部メンバーが着信し、内容を聞き取った上でSlack等を使って担当社員へ連絡し、担当社員から折り返す運用となっていました。この「手動取り次ぎ」は一部のメンバーに負担が集中する形となっていました。加えて、営業電話への対応も多く、本来の業務を中断せざるを得ない状況が頻発していました。
そこで、直接人が出る必要があるもの以外は、自動音声応答(IVR)を取り入れる決断をしました。電話をかけると自動音声が流れ、プッシュボタンで用件を振り分けます。録音された内容は、対応が必要な担当者や部署のSlackチャンネルへ自動通知される仕組みです。
複数のIVRサービスを比較した結果、fondesk IVRを採用しています。主な選定理由としては、Slack通知の内容や設定が充実していたことが挙げられます。対応者にとってSlack通知が最も便利なので、重要視しています。本記事執筆時点では運用開始に向けた最終準備中ですが、管理部からの期待値も非常に高く、全社の業務集中環境を守るための重要な施策として、スムーズな定着を目指します。
アジアクエストでは以前よりAdminaのSaaS管理プランを利用していましたが(Adminaとは何?という方はこちら)、新たにデバイスプランの利用を開始しました。Adminaデバイスプランでは、Adminaの管理画面上にデバイス管理台帳を集約することができます。また、AdminaのSaaS管理プランとデバイスプランを合わせて利用することで、各従業員が所有しているデバイスとSaaSアカウントを1つの管理画面で確認することができるようになります。
アジアクエストではこれまで、Googleスプレッドシートでデバイスを管理しており、過去の経緯などが理由で複数のスプレッドシートが存在している状態でした。現在はスプレッドシート管理からAdminaでの管理に移行している最中です。これまでのスプレッドシート管理では、「誰がどのSaaS/デバイスを持っているか」を確認するために複数の台帳を見る必要がありました。 対してAdminaでは、各従業員の紐付け状況を即座に確認できるため、可視性が飛躍的に向上しました。また、スプレッドシートで起こりがちな記入ミスや表記揺れも発生しないため、以前より正確な情報を管理できるようになり、安心感が増しました。
現在、ディスプレイ、スマートフォン、ネットワーク機器などの台帳移行が完了しており、あとはPC台帳を残すのみとなっています。AdminaはIntune/Jamf Pro等のMDMと連携する機能を持っており、MDM上の変更を自動でAdminaの台帳に反映することができます。アジアクエストでもIntune/Jamf Proを使用しているので、PC台帳の移行によって、さらに利便性がアップすることを期待しています。
Slackのプラン体系を新プランに移行することにより、自社ワークスペースでSlack AIを使えるようにしました。プラン移行によって多少のコスト増はあったのですが、「従業員にとってAIを当たり前の選択肢にしたい」という思いがあり、移行に踏み切りました。Slack AIでできることについては、Slack の AI 機能の使い方ガイドに記載があります。
アジアクエストでは2025年現在はSlackのビジネスプラスプランを使用しており、「メッセージの翻訳」「ハドルミーティング議事録」「まとめ」など様々な機能が使えるようになりました。その中でも特に汎用性が高い機能だと感じたのが検索機能です。従来のSlackでは、過去のメッセージはキーワードでの検索が中心でしたが、Slack AIによって自然言語で検索し、自然言語の回答を得ることが可能になりました。また、複数のチャンネルやファイルなどを横断的に検索対象にするため「どのチャンネルで、誰が、いつ話していたか」が曖昧でも、簡単に情報にたどり着けるケースが増えました。
2026年に取り組みたい施策について記載します。
2026年の一大プロジェクトとして、現在使用しているERPパッケージシステムのリプレイスを予定しています。アジアクエストでは現在、ERPで勤怠/工数/販売管理等を行っており、事業活動の中心となるシステムとなっています。しかし、会社の規模の拡大とともに現行システムの問題が顕在化してきており、他のシステムへの乗り換えを計画しています。様々な部門が関与し、1年以上にわたる大変なプロジェクトになりますが、成功に導けるように進行していきたいと思います。
現在、間接部門同士でもお互いの詳細な業務フローまでは把握しきれていない課題があります。「隣の部署が何をしているか」をプロセスレベルで可視化・共有することで、部分最適ではなく、全体を通した「最適解」が見つかるはずです。どのような手法で可視化を進めるか検討し、組織全体の効率化を底上げしていきます。
以下2軸で、社内共通の統合データ基盤導入を考えています。
ここ数年でSaaS導入が進んだことは良かったのですが、データのサイロ化と亜種DBの発生が始まっています。 SaaSからCSVエクスポートしたデータの寄せ集めがスプレッドシートに展開され、そこで管理会計の一部が実現されている、といった状況が社内各所に点在しているイメージです。
このような「誰かが業務するために仕方なくデータ複製」が進むと、二重管理や閲覧権限の問題が発生しがちです。 よって各データベースから定期同期された共通DB上でビューを作ることで、必要な人が必要なデータにたどり着けるデータ基盤構築を検討しています。現状、DWHやBIでの実現想定です。
昨今のAI情勢により、非構造データの蓄積から価値を生み出す領域も多くなってきました。
現状「就業規則一式を取り込んであり、回答してくれる NotebookLM」のような存在は社内各所にありますが、データ/アプリケーションともに個別に持つ形に留まります。
従業員全員が自由に使える「箱」を用意する(クラウドストレージのように)ことで、アイデアが出やすい環境を構築したいと考えています。
生成AI/RAG/AIエージェント等がキーワードになりそうですが、いざ着手する頃には違う技術が出ていそうですね(笑
対面コミュニケーションの重要性が再認識される中、会議室の予約・利用状況の管理が課題となっています。 これまではGoogleカレンダーで会議室予約管理をしていたのですが、「予約が入っているのに実際は空いている(カラ予約)」「前の会議が長引いて次の利用者が困る」といった問題を解消するため、よりスマートな管理システムの導入を検討しています。
社員がストレスなく会議室を利用でき、本来の議論に集中できる環境を作っていきたいです。
東京本社の社内ネットワークの改善のための各種施策を行っていきたいと考えています。現在の社内ネットワークは以下のように様々な問題を抱えています。
ここ数年はリモートワークが中心だったのでこの問題への対応の優先度はそれほど高くありませんでしたが、従業員数の増加や出社回帰の流れによって、オフィスにいる人の数が増えているので、拡大に備えた社内ネットワークを構築していきたいと考えています。
2025年は新しいメンバーが増え、体制としても大きく変わりました。情シスは従業員が働きやすい環境を提供することがミッションです。人数も体制も変わったことで、今まで以上にできることの幅が広くなりました。現状に満足せず新しいことにも挑戦していければと思っています。
年々従業員の人数も増えてきており、それに対応するために、「今」ではなく「未来」を見据えた最適なソリューションを提供していきたいと考えています。