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Reactの学習ロードマップとハンズオン実例:初心者でもアプリが作れる!

作成者: shintaro.kishino|2025年08月12日

はじめに

執筆者について

デジタルインテグレーション部 岸野 晋太郎

執筆の経緯

私はこれまで3年間、フロントエンドとサーバーサイドの両方を担当してきたエンジニアです。
以前の現場では、PHP/Laravel、JavaScript/jQueryを扱っており、それ以外の言語にはあまり触れてきませんでした。
そんな私がReact未経験の状態からどのように学び、何ができるようになったのかを共有することで、同じような初学者の方の手助けになればと思い、この記事を執筆しました。

Reactとは

React(リアクト)とは、UI(ユーザーインターフェース)を作るためのJavaScriptライブラリです。
Facebook(現Meta)が開発しており、Webアプリやスマホアプリの見た目の部分(フロントエンド)を効率よく作るために使われます。

Reactの特徴

特徴 説明
コンポーネント志向 UIを小さな部品(コンポーネント)に分けて再利用できる。
仮想DOM(Virtual DOM) DOM操作の効率を上げ、速く描画される。
宣言的UI 「どう動くか」よりも「どう見えるか」をコードで表現できる。
SPAに最適 ページ遷移なしで内容が動的に変わる「シングルページアプリケーション」に向いている。

例:Hello, React!

function Hello() {
return <h1>Hello, React!</h1>;
}

このように、JSXを使ってJavaScript内に記述できます。
JSXとはJavaScriptの拡張構文で、JavaScriptファイル内にHTMLのようなコードを記述できるようにするものです。

よく使われる用途

  • チャットアプリ
  • SNSの投稿画面
  • ダッシュボードや管理画面
  • フォームや検索画面などの動的UI

Reactが使われている有名なサービス

サービス名 概要 補足
Facebook Reactを開発したMeta(旧Facebook)の本体 ReactはもともとFacebookのUI改善のために作られた
Instagram 写真・動画共有SNS フロントエンドにReactが全面的に使われている
Netflix 映画・ドラマのストリーミング配信 UIパフォーマンス改善のためにReactを導入
Uber 配車アプリ 管理ツールなどにReactが使われている

学習手順

  1. Reactの概要を学ぶ
  2. ハンズオンでReactのコードに触れ、学ぶ
  3. Reactでアプリを開発する
  4. 個人開発に挑戦する

Reactの概要は掴めたので、実際にコードに触りながら学習を進めましょう。

三目並べ

Reactは、初めて学ぶ人向けに公式からチュートリアルが展開されています。
難しい環境構築は不要。実際にコードを書きながら画面を確認し、実装できます。
チュートリアルの内容は割愛しますが、完成形は以下のような画面となります。

私はチュートリアルを通して以下の表に記載した知識を身に付けました。
チュートリアルの最後にサンプルコードがあるので、一通り眺めて、コードとリンクさせましょう。

Reactチュートリアル

分野 学べること
コンポーネント UIをパーツ単位で分ける考え方(SquareBoardGame
props 親から子に値を渡す仕組み
state ユーザー操作に応じて変化するデータを扱う
stateのリフトアップ データの管理を「共通の親コンポーネント」に集約する方法
イミュータブルなデータ操作 slice() などで元データを壊さずコピーして扱う大事さ
イベントハンドリング クリックなどのユーザー操作を処理する
履歴管理 stateの履歴を保存して「巻き戻し」「やり直し」機能を実装する考え方
コンポーネントの構造化 小さな機能単位で構成されたアプリを作る練習
条件レンダリング 状況に応じて「勝者表示」「次の番表示」など出し分ける方法

チャットアプリ

こちらは私が作成した簡単なチャットアプリです。
サンプルコードを参考に、Reactの状態管理・レンダリング・副作用処理(useEffect)・イベント処理・ロジック設計までを一通り勉強できます。
Reactを使った「動きのあるUIアプリ開発」の基本スキルが一通り身につく内容となるように作成しました。

完成イメージ

サンプルコード

以下は、Reactで作成した簡単なチャットアプリのソースコードです。
localStorage に保存され、Botからの簡易返信も実装されています。
実際に手を動かしたい方は以下のサイトを使用してみてください。

サンドボックス

以下のコードをApp.jsにペーストすると、チャットアプリが使用できます。

import "./App.css";
import { useState, useEffect } from "react";

function App() {
const [messages, setMessages] = useState([]);
const [name, setName] = useState("");
const [text, setText] = useState("");

// ✅ 画面初回表示時に localStorage から読み込む
useEffect(() => {
const saved = localStorage.getItem("chatMessages");
if (saved) {
setMessages(JSON.parse(saved));
}
}, []);

// ✅ messagesが更新されるたびに localStorage に保存
useEffect(() => {
localStorage.setItem("chatMessages", JSON.stringify(messages));
}, [messages]);

const handleSend = () => {
if (!name || !text) return;

const newMessage = {
name,
text,
time: new Date().toLocaleTimeString(),
};

setMessages((prev) => [...prev, newMessage]);
setText("");

// 🔍 Botの返答ロジック(キーワード応答+ランダム応答)
const keywordReplies = [
{
keywords: ["疲れた", "だるい", "しんどい"],
reply: "おつかれさまです。無理せず休んでくださいね。",
},
{
keywords: ["ねむい", "眠い"],
reply: "眠い時は寝ましょう!体が資本です😴",
},
{ keywords: ["ありがとう", "感謝"], reply: "どういたしまして😊" },
{
keywords: ["おはよう"],
reply: "おはようございます!今日もがんばりましょう!",
},
{ keywords: ["こんにちは"], reply: "こんにちは!今日はいい日ですね☀️" },
];

const defaultReplies = [
`${name}さん、どうされましたか?`,
`なるほど、${name}さん。`,
`${name}さん、詳しく教えてください!`,
`そうなんですね、${name}さん。`,
];

const lowerText = text.toLowerCase();
let replyText = null;

for (const entry of keywordReplies) {
if (entry.keywords.some((kw) => lowerText.includes(kw))) {
replyText = entry.reply;
break;
}
}

if (!replyText) {
replyText =
defaultReplies[Math.floor(Math.random() * defaultReplies.length)];
}

setTimeout(() => {
const botMessage = {
name: "🤖 Bot",
text: replyText,
time: new Date().toLocaleTimeString(),
};
setMessages((prev) => [...prev, botMessage]);
}, 1500);
};

const handleClear = () => {
if (window.confirm("チャット履歴をすべて削除しますか?")) {
setMessages([]);
localStorage.removeItem("chatMessages"); // 保存データも削除
}
};

return (
<div className="chat-container">
<h2>💬 チャットアプリ</h2>

<div className="input-area">
<input
className="input-name"
type="text"
placeholder="名前"
value={name}
onChange={(e) => setName(e.target.value)}
/>
<input
type="text"
placeholder="メッセージ"
value={text}
onChange={(e) => setText(e.target.value)}
onKeyDown={(e) => e.key === "Enter" && handleSend()}
/>
<button onClick={handleSend}>送信</button>

{/* 👇 削除ボタン追加 */}
<button onClick={handleClear} style=>
全削除
</button>
</div>

<div className="chat-box">
{messages.map((msg, i) => {
const isBot = msg.name === "🤖 Bot";
return (
<div key={i} className={`message ${isBot ? "bot" : "user"}`}>
<div className={`bubble ${isBot ? "bot" : "user"}`}>
<strong>{msg.name}</strong> ({msg.time}):<br />
{msg.text}
</div>
</div>
);
})}
</div>
</div>
);
}

export default App;

※このままではエラーになってしまうため、srcディレクトリ配下に「App.css」を作成し、以下を入力してください。

.chat-container {
max-width: 500px;
margin: 20px auto;
font-family: sans-serif;
}

.input-area {
margin-bottom: 10px;
}

.input-name {
margin-right: 5px;
}

.chat-box {
border: 1px solid #ccc;
padding: 10px;
height: 300px;
overflow-y: scroll;
}

/* 吹き出し全体 */
.message {
display: flex;
margin-bottom: 10px;
}

/* Bot(左側) */
.message.bot {
justify-content: flex-start;
}

/* 自分(右側) */
.message.user {
justify-content: flex-end;
}

/* 吹き出し内容 */
.bubble {
max-width: 70%;
padding: 10px;
border-radius: 10px;
white-space: pre-wrap;
word-break: break-word;
}

/* Botの吹き出し(グレー) */
.bubble.bot {
background-color: #eee;
color: #333;
text-align: left;
}

/* 自分の吹き出し(青) */
.bubble.user {
background-color: #007bff;
color: white;
text-align: right;
}

これでチャットアプリの完成です。
今回はサンプルコードを用意しましたが、私は以下の流れで開発しました。

  1. チャットアプリ全体像を作成
  2. localStorageに保存
  3. 自動返信BOTを作成
  4. 返信パターンを追加(キーワードに応じた応答)
  5. チャット履歴削除機能を実装

この流れに沿って開発していくと、サンプルコードのイメージが湧きやすくなります。
慣れていない方はサンプルコードと画面を照らし合わせて読み進めてみてください。

次に挑戦するべき機能例

Reactに慣れてきたら、以下のような機能にも挑戦してみましょう。
1つずつ機能を拡張していくことで、実践的なアプリ開発スキルが身についていきます。
バックエンドに挑戦することもおすすめですよ。

機能 概要 得られる知識・スキル
Firebaseとの連携 データをクラウドに保存し、どこからでもアクセスできるようにする データベース連携・リアルタイム通信・Firebase Authenticationの基礎
複数ユーザー対応 他の人と同じルームでチャットできる機能を追加する WebSocketやFirestoreのリアルタイム機能、ユーザー識別の考え方
UIの改善 自分と相手のメッセージを左右に分ける、スクロール追従、テーマ切り替えなど CSS設計力、アニメーション(React Spring/Framer Motionなど)
チャットルームの作成 グループチャットや1対1の部屋を作れるようにする React Router、状態管理ライブラリ(例:ZustandやRedux)の利用
モバイル対応 スマホでも見やすいデザインにする メディアクエリ、レスポンシブUI設計、Flexbox/Gridの使い分け

さいごに

今回Reactについてと、私が作ったハンズオンを執筆させていただきました。
拙いコードではありますが、React初心者の方でもこの程度のアプリはすぐに作れるようになると感じていただけたら嬉しいです。
ぜひ読んでくださった皆さんには、ここからさらに機能を発展させたり、新規開発に挑戦してみてほしいです。
一緒に学んでいきましょう!

参考