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AWS Certified Generative AI Developer - Professional(AIP-C01)の攻略方法

作成者: koki.sakurai|2026年07月24日

はじめに

こんにちは!アジアクエスト株式会社デジタルイノベーション部の櫻井です。
先日、2026年に提供が開始されたAWS Certified Generative AI Developer - Professional(AIP-C01、以下AIPと表記)を取得しました。
本記事では、対策方法やどのようなサービス・ユースケースが出題されるのかを解説していきます。

取得前の経歴・背景について

まず、筆者の経歴やバックグラウンドを簡単に紹介します。

  • 2025年に情報系の大学院の修士課程修了
    • 音楽生成AIをテーマとして研究を行なっていた
  • 2025年にアジアクエスト株式会社に新卒入社
  • 2026 Japan All AWS Certifications Engineersに選出
  • AI・インフラ領域での実務経験1年

AIPとは

AIPは、2025年11月にベータ試験の登録が開始され、2026年に標準試験として提供が開始されたProfessionalレベルのAWS認定資格です。基盤モデル(FM)をアプリケーションやビジネスワークフローへ統合し、生成AIソリューションを本番環境で実装・運用する能力が問われます。

試験ガイドでは、AWSやオープンソース技術を使用した本番環境レベルのアプリケーション構築経験が2年以上あり、生成AIソリューションの実装経験が1年程度ある開発者が受験対象者として想定されています。生成AIアプリケーションを本番環境で開発・運用していきたい方に、特におすすめできる資格です。

試験の概要は以下のとおりです。

項目 内容
試験コード AIP-C01
レベル Professional
問題数 75問(うち採点対象は65問)
試験時間 180分
合格ライン 1,000点満点中750点
受験料 300 USD
受験言語 英語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)

出題分野と配点比率は以下のとおりです。

分野 配点比率
1. 基盤モデルの統合、データ管理、コンプライアンス 31%
2. 実装と統合 26%
3. AIの安全性、セキュリティ、ガバナンス 20%
4. 生成AIアプリケーションの運用効率と最適化 12%
5. テスト、検証、トラブルシューティング 11%

問われる知識

AIPは生成AIに関する知識だけでなく、生成AIをシステムに組み込む際の知識(CI/CD、認証・認可、権限、エラー時の対処)も幅広く扱う資格です。試験ガイドの出題分野を見ても、「実装と統合」「AIの安全性、セキュリティ、ガバナンス」「運用効率と最適化」といった、開発・運用寄りの領域が大きな比重を占めています。そのため、業務でAIを扱っていてAIに詳しい方でも、AWS Certified SysOps Administrator - Associate(SOA)やAWS Certified Developer - Associate(DVA)でカバーされるようなシステム構築・運用面の知識をあわせて固めておくと安心です。ちなみに筆者自身、この開発・運用寄りの領域には少し苦戦し、ギリギリでの合格となりました。

一方で、機械学習モデルの開発やトレーニング、特徴量エンジニアリングといった領域は試験の範囲外とされています。AI・機械学習の基礎知識を問うAWS Certified AI Practitioner(AIF)や、モデル開発・学習を含むMLエンジニアリングを扱うAWS Certified Machine Learning Engineer - Associate(MLA)とは、問われる領域が異なります。

主なサービス

試験ガイドの「対象範囲のAWSサービス」を踏まえ、学習しておくと良いと感じたサービスを紹介します。なお、RAGや埋め込みなどのAI用語については、記事末尾の補足:主なAI用語で簡単にまとめています。


Amazon Bedrock

Amazon Bedrockは、複数プロバイダーの基盤モデル(FM)や埋め込みモデルをAPI経由で利用し、生成AIアプリケーションを構築・運用するためのマネージドサービスです。AIPの中心的なサービスなので、しっかり押さえておきたいです。 また、モデル呼び出し以外にも、AIエージェントを構築する上で役立つ機能もあります。特に、以下の機能は理解しておくと良いでしょう。

  • Knowledge Bases:データを登録することで、RAGシステムの構築をマネージドに行える機能。RAG構築やベクトル検索を扱ううえで重要。
  • Agents:AIエージェントをマネージドに構築できる機能。アクショングループによるツール連携や、複数エージェントを連携させるオーケストレーションを理解しておきたい。なお、2026年7月30日以降はメンテナンスモードへ移行する(新規利用は不可、既存利用者は継続利用可能)と発表されている。
  • AgentCore:AIエージェントを本番環境向けにデプロイ・運用するためのサービス。Agentsとは別のサービスであり、エージェントの実行環境やメモリ、ツール連携などの運用基盤を提供する。
  • Guardrails:LLMへの入出力に対して有害コンテンツのブロックやPII(個人情報)のマスキングなど、不適切な内容の検知やブロックができる。LLMの入出力制御を考えるうえで重要。

ベクトル検索系サービス

RAGの検索基盤として、ベクトル検索系のサービスも押さえておきたい領域です。以下のサービスは理解しておくと良いでしょう。

  • Amazon OpenSearch Service / Serverless:Knowledge Basesのベクトルストアとして利用できる。k-NN検索(クエリとの類似度が高い上位k件のデータを取得する近傍検索)の仕組みや、キーワード検索とベクトル検索を組み合わせるハイブリッド検索を理解しておきたい。
  • Amazon Kendra:機械学習を活用したマネージド検索サービス。コネクタによる多様なデータソースとの連携や、アクセス権限を考慮した検索結果のフィルタリングが可能。Bedrock Agentsと同様、2026年7月30日以降はメンテナンスモードへ移行すると発表されている。
  • pgvector:PostgreSQLでベクトルデータの保存やSQLによる検索を可能にする拡張機能。Amazon Aurora PostgreSQLとの併用が代表的。

AWS Step Functions

生成AIワークフローのオーケストレーションを担うサービスです。以下のような使い方を理解しておくと良いでしょう。

  • 複数の基盤モデル呼び出しやAWS Lambdaを組み合わせたワークフローの構築
  • バッチでのドキュメント処理パイプライン(取り込み、変換、埋め込み生成)
  • エラーハンドリングやリトライによる、スロットリング対策を含めた堅牢な処理の実現
  • 人間による承認を挟むワークフロー(Human-in-the-loop)の実装

Step Functions単体の細かい仕様よりも、「生成AIの処理をどう組み合わせて自動化するか」という観点で理解しておくと良いでしょう。

学習しておきたいテーマ

ここからは、試験ガイドの出題分野を踏まえ、学習しておくと良いと感じた代表的なテーマを紹介します。実際の業務でも役立つ観点なので、手を動かして理解を深めておくのがおすすめです。


Bedrockを活用したAIエージェント構築

AIPの中心となるテーマです。以下のような構成を理解しておくと良いでしょう。

  • 社内システムのAPIをアクショングループとして登録し、エージェントから呼び出す構成
  • Knowledge Basesと組み合わせて、社内ドキュメントを参照しながら回答するエージェントの構築
  • 複数のエージェントを連携させるマルチエージェント構成の設計

「業務要件を満たすエージェントを最小の運用負荷で構築する」という観点で、マネージドな機能(Bedrock Agents)と自前実装(Lambda + SDK)の使い分けを整理しておくと良いです。


ベクトル検索の最適化

RAGの検索精度やコストを最適化する観点も押さえておきたいテーマです。

  • ドキュメントの特性に応じたチャンキング(ドキュメントを検索しやすい単位に分割する処理)戦略の選択(固定長、セマンティック、階層など)
  • 検索精度が低い場合の改善方法(ハイブリッド検索、属性情報で絞り込むメタデータフィルタリング、検索結果を関連度順に並べ直すリランキング)
  • データ量や更新頻度、コスト要件に応じたベクトルストアの選定

単なる知識の暗記ではなく、「精度改善」や「コスト最適化」といった課題に対して最善策を考えられるようにしておくと良いでしょう。


AIエージェントの設計やデプロイ

構築したエージェントの設計やCI/CD関連も押さえておきたいテーマです。

  • エージェントのバージョンとエイリアスを使った安全なリリース
  • AWS CloudFormationやAWS CDKによるIaC化と、CI/CDパイプラインへの組み込み
  • レスポンスのストリーミング配信や、Amazon API Gateway・Lambdaを組み合わせたAPI設計
  • Amazon CloudWatchによる監視と、トークン使用量やレイテンシーの可視化

エラー時の処理やCI/CD系の内容は、DVAで扱う知識ともつながる領域です。


AIエージェントで扱うデータの権限やセキュリティ

モデル・データの使用権限などのセキュリティ関連も重要なテーマです。

  • ユーザーの所属部署に応じて、参照できるドキュメントを制限する構成(メタデータフィルタリングやKendraのアクセス制御)
  • Guardrailsによるプロンプトインジェクション対策やPIIのマスキング
  • データ送信先の制限(データを国外へ送信しないようにするなど)

権限周りは、SOAで扱う知識ともつながる領域です。

対策方法

筆者が実際に行った対策を紹介します。


AWS Skill Builderの活用

主な対策はAWS Skill Builderです。実際の試験と同等の難易度の問題の練習や模擬試験を受けられるため、問題集として一番参考になりました。


公式試験ガイドの読み込み

試験ガイドには、出題されるタスクと対象サービスが明記されています。特に「対象範囲のAWSサービス」の一覧や「コンテンツ分野」でどのようなユースケースが求められているのかを確認するのをおすすめします。


AIサービスのハンズオン

普段から業務で生成AI開発に携わっているため、業務内容がそのまま試験対策に直結していました。また、公式の解説資料・動画であるAWS Black Beltを参考にサービスの使い方を学ぶのもおすすめします。

まとめ

本記事では、AIP(AWS Certified Generative AI Developer - Professional)について、出題されるサービスやユースケース、対策方法を解説しました。

  • AIPは基盤モデルをアプリケーションへ統合する力を問う、開発者向けのProfessional資格
  • 出題の中心はAmazon Bedrockで、Knowledge Bases・Agents・Guardrailsなど周辺機能の理解が必須
  • RAGやAIエージェントの構築・デプロイ・セキュリティといった、実践的なシナリオが問われる
  • 対策はAWS Skill Builderと公式試験ガイドを軸に、関連サービスを実際に触ることを推奨

補足:主なAI用語

最後に、本記事に登場したAI用語や、試験全体を通して押さえておくべきAI用語を簡単にまとめます。

  • 基盤モデル(FM): 基盤モデル(Foundation Model)の略。大量かつ多様なデータで事前学習され、文章生成や要約、翻訳など幅広いタスクに汎用的に応用できる大規模なAIモデル。
  • LLM: 大規模言語モデル(Large Language Model)の略。大量のテキストデータで学習し、文章の生成や要約、質問応答などの言語タスクを行う基盤モデルの代表例。
  • AIエージェント: LLMを中心に、ユーザーの指示を解釈して外部ツールやAPIを自律的に呼び出し、タスクを遂行するシステム。
  • ガードレール: LLMへの入出力に対して、有害コンテンツのブロックやPII(個人情報)のマスキング、プロンプトインジェクション対策などを行う安全機構。
  • RAG: 検索拡張生成(Retrieval-Augmented Generation)の略。外部のデータソースから関連情報を検索し、その内容をLLMに渡して回答を生成する仕組み。
  • オーケストレーション: 複数のモデル呼び出しや処理を組み合わせ、一連のワークフローとして制御・自動化すること。
  • ベクトル検索: テキストなどを数値ベクトルに変換し、その類似度をもとに意味的に近い情報を検索する手法。RAGの検索基盤として用いられる。
  • 埋め込み: 埋め込み(Embedding)とは、テキストや画像などのデータを意味を保持したまま数値ベクトルへ変換すること、またはそのベクトル自体。専用のEmbeddingモデルで生成する。