こんにちは!アジアクエスト情報システム部 ITサービスグループの石川です。
会議で前提の共有がうまくできず議論が迷走してしまったり、司会をやっても参加者の意見をうまく引き出せなかったりと、会議の進め方に課題を感じたことはありませんか?
先日、マネージャーから案内をもらい、IIJさん(株式会社インターネットイニシアティブ)主催のファシリテーション実践ワークショップに参加しました。
この記事では、ワークショップを通じて学んだこと、そして参加して自分の中で変わったことを皆さんにお伝えします。
情シス・DX部門は、社内の"橋渡し役"として、さまざまな立場の関係者を巻き込みながら物事を前に進める役割を担っています。しかし実際の現場では、関係部門との調整が進まなかったり、会議は多いのに意思決定につながらなかったりと、ファシリテーションに関わる悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
IIJさんはそうした情シス・DX担当者の課題に向き合い、業界全体への貢献として本ワークショップを開催されています。情シスの実務を想定したテーマでのロールプレイングを通じて、「知る」だけでなく「やってみる」体験を提供してくれている点が、このワークショップの大きな特徴です。
正直なところ、参加前は「ファシリテーション」という言葉自体をほとんど知りませんでした。
参加を決める一番の後押しになったのは、マネージャーからもらった以下の言葉です。
以下のような課題を感じている方がいたら、いい学びがあるかもしれないので、ぜひ参加してください!
- グループの定例で、自分の中で前提になっていることをベースに話してしまい、他の人が理解できずに意見が出なくなる
- 他部署の方との会話時に前提や背景の目線合わせができておらず、会話がうまく前に進まない
この言葉を読んで、「あ、これは自分のことだ」と感じました。思い当たる場面がいくつも頭に浮かんだので、参加を決めました。
ファシリテーションという言葉自体を知らない状態で参加したので、まず「ファシリテータとは何か」を初めて知るところからスタートしました。
一言で表すと、「チームで何かを行う際に、物事がうまく進行するように支援する役割」です。
ファシリテータは「司会」と表現されることもありますが、実際には役割が大きく異なります。司会が進行を担うのに対し、ファシリテータは参加メンバーそれぞれの知恵を引き出し、意欲を高め、メンバー自らが動く状態を作り出すことを目指します。
また、ファシリテーションとは「仕切ること」ではなく、「議論の流れをコントロールすること」、つまり「支配するのではなく、場を整える」という考え方だとも教えてもらいました。この考え方が、参加前に感じていた自分の悩みと重なって、すっと理解できた気がしました。
次に、ファシリテータが実際に何をやるのかを教えてもらいました。
ファシリテータの仕事は会議当日だけでなく、「会議の設計・準備 → 実施 → 実施後フォローアップ」という3つのフェーズ全体にわたるものだとわかりました。
特に強調されていたのが、「会議の設計が8割」という言葉です。会議の前に、目的・ゴール・ゴールを達成するためのステップ(論点)・参加者・開催形式・アジェンダを考えておくことが、会議の質を大きく左右するとのことでした。
実施フェーズでは、全員参加・相互理解・議論の流れのコントロール・時間管理・目標達成の5つを意識して場を運営することも学びました。そして、議事録共有・アクションの進捗確認・次回会議の準備という会議後のフォローアップまで含めてファシリテータの役割だということを、このとき初めて知りました。
実施フェーズの中でも、「相互理解→議論の流れのコントロール」の部分で、特に考えさせられたことがありました。
「議論を可視化する」ことの重要性です。言葉だけで議論を進めるのではなく、発言内容をその場で見える形にしながら進めることが大切だという考え方を改めて意識させられました。ホワイトボードに発言を要約して書き留めたり、本筋から逸れた話題を「パーキングエリア」として一時保留にしたりと、具体的な方法もあわせて紹介してもらいました。
座学で基本を学んだ後は、ロールプレイングです。
グループに分かれ、情シス部門内での検討シーンを想定したテーマで、1人ずつファシリテータを交代しながら演習しました。1人あたりの進め方は以下のとおりです。
| 内容 | 時間 | |
|---|---|---|
| Step 1 | 会議をファシリテータとして運営する | 14分 |
| Step 2 | 各自で振り返りを行う | 8分 |
| Step 3 | 全員で振り返りを共有する | 8分 |
「普段の会議では失敗できないけど、ここは失敗してもよい場」という説明があり、その安心感があったからこそ、普段はなかなか試しにくいような動き方を実践してみることができました。
振り返りでは、「F2LOモデル」という手法も紹介されました。ファシリテータ(F)が2人以上の学習者(L)に関わる中での距離感や、活動の対象(O)にどのように向き合っているかを図で可視化し、会議の場面を客観的に分析する手法です。
自分がファシリテータだったときの動きをこのモデルで振り返ることで、「意識的にやってみたこと」「うまくいかなかった場面」を言語化することができました。グループ内で共有する時間もあり、他の参加者の視点から気づきを得る機会にもなりました。
※F2LOモデルのイメージとしては以下の図をご参照ください。
ロールプレイングを経験することで、理論として聞いていた内容が、少しずつ自分ごととして実感できるようになりました。
「目的・ゴール/論点/開催形式」を事前に設計することの効果を、ロールプレイングを通じて実感しました。
私が担当したテーマでは、最初にゴールとそこへのステップを丁寧に共有したところ、参加者が迷わず発言できる場が生まれました。一方で、ゴールが不明確なまま進めると、議論がどこに向かっているかわからなくなり、発言しにくい雰囲気が生まれることも実感しました。
「会議の設計が8割」という言葉は、体験を通じて初めて本当の意味で理解できた気がします。
ロールプレイングの中で、自分自身の「癖」に気づく場面がありました。
司会でないときでも、つい発言したくなってしまうのです。内容への興味関心があると反射的に口を開いてしまう癖があることを、客観的に認識できました。
他の参加者の表情やボディランゲージを観察しながら、発言するタイミングを意識的に選ぶことの大切さを改めて学びました。全員参加を促すためには、自分の発言量をコントロールすることが基本中の基本なのだと感じています。
ワークショップを通じて、一番大きく変化したのは「アジェンダに対する見方」です。
以前は、全て目を通す必要があるとは認識していましたが、それ以上の役割があるとは思っていませんでした。しかし今は、目的・論点を把握し、会議がゴールに向かっているかを確認するための道具として捉えるようになりました。
この変化は、座学だけでは生まれなかったと思います。ロールプレイングで実際にファシリテータを体験したからこそ、アジェンダがなぜ大切なのかを実感できたのだと思います。
ワークショップを通じて、具体的なアクションとして取り入れたいことが明確になりました。
これを自分なりのルーティンとして習慣化していきたいと思っています。
もうひとつ大事だと感じているのは、「実際の業務シーンと今回の学びを照らし合わせること」です。
ワークショップ中も、「あのマネージャーの発言はこの考え方と紐づくかもしれない」「あの会議はゴールの設計ができていなかったから議論が迷走したんだ」と感じる場面が何度もありました。体験と理論を行き来しながら理解を深めていくことが、ファシリテーションスキルを自分のものにする近道だと感じています。
「会議をうまく進めたい」という悩みは、多くの情シス・DX担当者に共通するものだと思います。本ワークショップは、そんな悩みに対して理論と実践の両輪で学べる、充実した内容でした。
特に、ロールプレイングという"安心して失敗できる場"があったことで、自分の癖や課題に気づきやすかったと思います。他社の担当者の方々との対話からも多くの気づきを得ることができ、参加してよかったと感じています。
もし同じような悩みをお持ちの方がいれば、ぜひこういった機会を活用してみてください。「明日からの会議で試せる一手を持ち帰る」という実感、きっと得られると思います!