こんにちは。クラウドインテグレーション部の峰松優太です。
7/15(火)にマイクロソフト品川本社で開催された「Tokyo Jazug Night #55」に参加しましたので、イベントのレポートをまとめたいと思います。
JAZUG(Japan Azure User Group)は「Microsoft Azure を学び、楽しみ、活かす」ことを目的に結成されたユーザコミュニティです。(読み方は "じゃずゆーじー")
今年(2025 年)で結成 15 周年であり、全国に JAZUG の支部があります。
そして今回参加した Tokyo Jazug Night は、東京で定期的に開催される JAZUG の勉強会です。
(本イベントのアーカイブはYoutubeで公開されています。)
パーソルクロステクノロジー株式会社
永井玖人さん
本セッションでは、アメリカで開催された FinOps X 2025 の参加レポートとして、FinOps の概要や動向について紹介されました。
FinOps とは、「ビジネス価値の最大化を目的とした運用」です。
単なるコスト削減にとどまらず、ビジネス価値の最大化という視点を持ったコスト最適化を行うことが重要であり、近年拡大している AI 利活用においても FinOps が重要であるとの説明がありました。
また、Azure 利用におけるコスト最適化のための方法ついても説明がありました。(これらはほかのクラウドにも共通する話ですね。)
ただ、日本国内ではこの FinOps という考え方はまだそれほど普及していないとのことです。(私も FinOps というワードは知りませんでした。) デジタル庁では、ガバメントクラウドにおける FinOps ガイドラインを 今年(令和 7 年)度中に作成する予定となっており、今後日本においても FinOps の普及が進んでいくようです。
FinOps とは大掛かりなものに感じてしまいそうですが、日々のクラウド利用の中で、身近なところからコスト意識を高めて小さな最適化を積み重ねていくことが重要だと感じました。
日本マイクロソフト株式会社
坂部広大さん
このセッションでは、Azure Updatesの内容を要約し PowerPoint 形式でダウンロードできるツール「Azure Update Chacker」ついての説明がありました。
このツールの特徴は PowerPoint 形式で配布することにあり、こうすることで「ユーザが加工しやすい形で提供できる」「ターゲット層が限定されコストを容易に想定できる」といった利点があると紹介されました。
AI による要約過程ではシステムプロンプトへ指示を直接書き込むことで、AI を活用してノーコードでツールを完成させていました。
デプロイには Azure マネージドサービスや AI によるコードレビューを使用し、運用負荷の少ない構成でツールを公開されています。
このセッションを通して、タイトルにある「無理しない AI 活用」が体現されていると感じました。何か些細なことでも、困りごとを解消できるようなツールを自身でもつくってみたいと思いました。
セッション中に紹介された、個人的に有用なツールをいくつかまとめておきます。
株式会社NTTデータ先端技術
原田幸太郎さん
このセッションでは、Azure Local(旧称 Azure Stack HCI)の VM 管理機能にフォーカスした紹介とデモが行われました。
Azure Local とは、Azure をオンプレミスサーバ環境へ拡張して Azure の監視やセキュリティ機能を一部使用できるようにするためのソリューションであり、Azure Arc を基盤にして提供されています。
22H2 から 23H2 へのバージョンアップにより、Azure Local VM を Azure portal で管理できるようになっており、Azure portal 上での仮想マシンの各操作(開始、停止、再起動、削除)や IaC によるデプロイが可能になっていました。
デモでは Azure Arc の画面からポチポチ操作で VM を作成されており「これで本当に Azure Local 機能使えてるん?」ってくらい簡単な印象でした。
Azure Virtual Desktop へ対応したこともかなり大きく、ハイブリッドクラウドへ向けて今後さらに注目が集まるサービスでした。
株式会社バンダイナムコスタジオ
八重樫剛史さん
このセッションでは、自社で開発された FinOps を推進するためのプラットフォームについて紹介がありました。
ユーザの経費計上や Microsoft および他社サービスの請求情報を Azure SQL Server に集約させて集計し、レポートとして経理部門やその他関係者へ提供するというアーキテクチャが組まれていました。情報集約のために Azure や Microsoft 365 のサービスを複合的に利用されており、ユーザが閲覧する部分は GUI ベースで作られていました。
Microsoft 製品に備わっている ID/権限管理の仕組みをうまく利用し、IaC や DevOps といった運用面も考慮されていました。Microsoft ソリューションについての総合的で高度な知識・技術が集約されていることにとても驚きました。
本イベントを通して、さまざまな方面でのクラウドと AI の活用について知ることができました。特に「FinOps」という概念およびそれを推進するための活動を知ることができたのは個人的に有意義な時間になりました。
今後の業務でも、FinOps の視点を忘れずさまざまな技術の習得に励んでいきたいと思います。